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関節リウマチ

1.概要

関節リウマチとは、自分自身の体に対して免疫反応が起こることにより関節の内面を覆っている滑膜に炎症が起こる自己免疫疾患です。滑膜に炎症が起こると周囲の軟骨や骨を溶かし、結果として関節が破壊され関節の変形、脱臼、癒合などが現れます。

本邦では人口の0.5〜1%がかかる比較的頻度の高い全身性自己免疫疾患で、男女比は1:3〜4であり女性の患者が多い病気です。

2.原因

関節リウマチでは、本来自分を守るはずの免疫機能が何らかの異常により自分の体の一部である関節に対して作用することで痛みや炎症を引き起こすと考えられています。発症にいたる詳しい原因は明らかになっていませんが、遺伝的要因と環境的要因が組み合わさって発症するものと考えられています。

発症に遺伝的要因が10〜15%関与しているとする報告もあります。関節リウマチを発症しやすいとされる遺伝子が100種類程度あると言われており、その代表例として白血球の遺伝子であるHLA-DRB1などが挙げられます。一方、環境的要因として確実視されているのは喫煙です。また、可能性のある要因として、歯周病、腸内細菌の乱れ、慢性の呼吸器感染症など免疫系が活性化される要因が挙げられています。

3.症状

主な症状は関節のこわばりや関節の痛み・腫れです。関節のこわばりとは、関節が思ったように動かないことを指し、更年期や他疾患でもみられることがありますが、関節リウマチでは通常1時間以上と長時間続くことが特徴です。

痛みは全身の関節に生じる可能性があります。特に手首や手指の関節に起こることが多く、ほとんどの場合は複数の関節に出現します。関節の炎症が長期間続くと関節の軟骨・骨が少しずつ破壊され、関節の変形や脱臼、関節が硬くこわばる強直、関節の曲げ伸ばしが難しくなる拘縮を引き起こし、日常生活に大きな支障をきたします。

また、炎症が強ければ発熱、全身倦怠感、体重減少、食欲不振といった全身症状を伴うこともあるほか、間質性肺炎や血管炎などを合併するケースもあります。特に間質性肺炎はレントゲンで7〜10%、CT検査で20〜30%みられる頻度の高い合併症です。

4.検査・診断

関節リウマチの検査には、血液検査や画像検査があります。これらの検査結果と症状を組み合わせて診断します。

(1)血液検査

血液検査では、リウマトイド因子や抗CCP抗体といった自己抗体、赤血球沈降速度やCRPなどの炎症反応を調べます。保険診療の場合、先にリウマトイド因子を調べ、これが陰性の場合でも関節リウマチが疑わしい場合に抗CCP抗体の検査を行うことが一般的です。
しかし、血液検査が陽性でも必ずしも関節リウマチの診断にはなりません。特にリウマトイド因子は健康な方でも陽性になることが多いため、注意が必要です。また、リウマトイド因子や抗CCP抗体が陰性の関節リウマチもあります。症状や経過から総合的に診断する必要があります。

(2)画像検査

画像検査は関節の単純レントゲンを中心に行われますが、関節超音波検査やMRI検査が行われることもあります。
単純レントゲン検査では骨の表面がかけた状態である骨びらんの有無や、軟骨が障害された場合に起きる骨と骨との隙間が小さくなる状態がないかを確かめます。関節超音波が行える医療機関では、関節の腫れや炎症を確認するために関節超音波検査が行われることもあります。また、より詳しく調べる必要がある場合にMRI検査によって滑膜の腫れや骨びらんを確認します。

5.治療

治療の原則は基礎療法・薬物療法・リハビリテーション・手術療法です。治療の選択は病気の重症度・合併症・日常生活の不自由さなどを総合的に判断して行います。
関節リウマチの関節破壊は、発症して2年以内に急速に進行します。一度破壊された軟骨・骨・関節は元に戻すことができず、早期診断・早期治療が重要になります。

(1)基礎療法

基礎療法とは、適度な運動と安静、食生活など規則正しい生活を送ることです。そのほか、喫煙や歯周病が関節リウマチの活動性に関与していると考えられているため、禁煙などの指導が行われることもあります。

(2)薬物療法

薬物療法は関節リウマチ治療の中心であり、関節の炎症や破壊を抑え、寛解を目指す目的で行われます。治療薬としてはまず抗リウマチ薬が検討され、薬の効果が不十分な場合に生物学的製剤やJAK阻害薬の使用が検討されます。
第一選択薬は抗リウマチ薬のメトトレキサートです。しかし、間質性肺炎を合併している人などには使用できないため、別の抗リウマチ薬が処方される場合や、抗リウマチ薬を使用せずに生物学的製剤やJAK阻害薬が処方されることもあります。
生物学的製剤とは生物が産生するたんぱく質などの物質を改良して作られた比較的新しい薬のことです。JAK阻害薬とは炎症に関わるヤヌスキナーゼ(JAK)という酵素のはたらきを阻害することで炎症を抑える治療薬です。また、関節の痛みを和らげるために非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による補助療法も行われます。

(3)リハビリテーション

関節の動く範囲と筋力を維持するためにリハビリテーションも有用です。関節の変形防止や保護のため頸椎カラーや足底版などの装具を使用することもあります。

(4)手術療法

薬物療法やリハビリテーションによる治療を行っても変形等による関節の障害が残ってしまう場合、手術療法が選択されることもあります。人工関節置換術、滑膜切除術、関節固定術、腱断裂・手指・足趾の手術、頸椎の固定術などが行われます。
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