高血圧の食事、家庭では何から?調味料・食品選びと減塩の工夫

「血圧のために減塩をと言われたけれど、毎日の料理をどこから変えればよいのだろう」「家族と別の食事を作るのは大変」。そのように感じることはありませんか。

家庭での減塩は、食べ物を次々に禁止するより、よく使う調味料や、いつもの料理に含まれる食塩を見直すことから始められます。この記事では、買い物・調理・食卓で取り組める工夫を紹介します。すでに食事について個別の指示を受けている方は、その内容を優先してください。食事の見直しだけで、薬の必要性や受診時期を判断することはできません。

高血圧の減塩目標と、自分に合った進め方を確認する

高血圧の方では、食塩摂取量を1日6g未満にすることが目標とされています。これは、料理に加える塩だけではなく、しょうゆ・みそなどの調味料や、食品にもともと含まれる分を合わせた食塩の量です。[1]

ただし、持病や栄養状態によって食事で気をつける点は異なります。主治医から食塩・カリウム・たんぱく質などについて指示されている方は、その指示に沿って取り組みましょう。食事量を急に減らしたり、特定の食品だけを多く食べたりする方法ではなく、必要な栄養を保ちながら続けられる工夫を考えます。[2]

まずは、いつもの食事で食塩が増える場面を見つける

最初から毎食を細かく計算しようとすると、負担に感じるかもしれません。普段の食事を振り返り、同じような味付けや食品が重なっていないか見てみましょう。

振り返る場面家庭で試せる工夫
味を確かめる前にしょうゆ・ソースを足すまずひと口食べ、必要な場合だけ少量を使う
漬物・塩蔵品・ハムなどをよく組み合わせる一度に重なる量や頻度を見直し、表示を確認する
汁物や麺の汁を最後まで飲む汁の量を見直し、飲み干さないようにする
しょうゆ味のおかずが重なるほかの料理は酸味や香りを使うなど、味付けに変化をつける

加工食品や調味料をすべて禁止するという意味ではありません。よく食べるものから、量や使い方を一つずつ見直すことが大切です。[3][4]

家庭の味付けは、調味料の種類と使う量から見直す

使う量を見えるようにする

鍋やフライパンへ直接注いでいると、使った量が分かりにくくなります。まずは計量スプーンや小皿を使い、普段どのくらい加えているか確かめる方法があります。食卓でも、料理全体にかけるより、別の小皿へ少量取り、つけて食べると調整しやすくなります。[3][4]

薄口しょうゆは、減塩しょうゆとは異なる

色の薄さだけで食塩が少ないとは判断できません。薄口しょうゆは、一般に濃口しょうゆより食塩相当量が多いことがあります。「薄口」という名前と「減塩」を取り違えず、商品の栄養成分表示を確認しましょう。[5]

減塩タイプへ替えた場合も、多く使えば食塩摂取量は増えます。商品を替えることと、使う量を見直すことをセットにして考えましょう。[3][4]

塩味以外の風味を使う

酢や柑橘類の酸味、しそ・しょうがなどの香り、香辛料やだしのうま味を生かすと、味付けに変化をつけられます。一つの料理をただ薄くするだけでなく、料理ごとに違う風味を使ってみましょう。[2][4]

ただし、だし入り調味料、スープの素、味のついた酢などにも食塩が含まれる場合があります。「だし」「酸味」という名前だけで判断せず、使っている商品の表示と使用量を確認してください。[8]

買い物で確認する、食品・調味料の食塩相当量

調味料や加工食品を選ぶときは、栄養成分表示の「食塩相当量」と表示単位を確認しましょう。「100g当たり」「1包装当たり」などが異なる数字は、そのまま比べず、家庭で実際に使う量・食べる量と合わせて考えます。[6]

家族と同じ料理を基本に、取り分けと味付けを工夫する

減塩をする方のために、毎回すべて別の料理を用意する必要があるとは限りません。同じ食材を使い、仕上げの味付け前に取り分ける、添えるたれを別にするなど、家庭で続けやすい方法を考えましょう。[4]

例えば、煮物などは味付け前の段階まで一緒に作り、取り分けた分で調味料の量を調整する方法があります。和え物の調味料やサラダのドレッシングを別に添えると、それぞれの量を把握しやすくなります。[4]

家族の年齢や持病、必要な食事量は同じとは限りません。高血圧のある方の目標を、家族全員へそのまま当てはめるものではありません。個別の食事管理が必要な方は、主治医の指示を確認してください。

取り組むことを一度に増やすより、「食卓でしょうゆを足す前に味を見る」など、続けられることを一つ選んでみましょう。調理する人だけが負担を抱えず、食べる家族とも、どこを変えたか話し合えると取り組み方を共有しやすくなります。[3]

野菜・果物や減塩食品も、持病に合わせて選ぶ

野菜や果物を取り入れることは食事のバランスを考えるうえで役立ちますが、特定の食品だけで血圧が下がると考えるのは避けましょう。糖尿病などで食事の指示を受けている方は、量や組合せも含めて主治医に確認してください。[2]

腎機能が低下している方や、カリウム制限を指示されている方は、野菜・果物を自己判断で増やさないでください。腎臓の病気がある方すべてに同じ制限が必要という意味ではなく、自分に必要な制限を確認することが大切です。[2][8]

また、減塩のためにナトリウムの一部をカリウムに替えた「減塩塩」もあります。カリウム制限がある方などは、使い始める前に主治医へ相談してください。本記事の工夫は、腎臓病などに合わせた個別の献立・食事指導を置き換えるものではありません。[8]

食事と血圧を記録し、気になることは受診時に相談する

食事を見直したときは、取り組んだことや、続けにくかったことを記録しておくと、相談の材料になります。例えば、普段使う調味料、よく食べる加工食品、食事を変えた時期、家庭血圧の記録などを、分かる範囲で整理しましょう。完全な記録がそろうまで受診を待つ必要はありません。

家庭血圧の測定方法は、家庭血圧の測り方と受診の目安をご覧ください。薬を服用していても高い値が続く場合は、食事だけの問題と決めつけず、薬を飲んでも血圧が下がらないときの相談準備も参考に、医療機関へ相談してください。

食事を変えて血圧の数値が変わっても、自己判断で薬を中止・減量しないでください。健診で受診を勧められた場合や血圧の高い状態が続く場合は、食事の改善だけで様子を見続けず、受診時期を相談しましょう。

突然の激しい頭痛、強い胸や背中の痛み、急な息苦しさ、片側の手足に力が入らない、ろれつが回らない、意識がおかしいなどの症状があるときは、血圧を測り直したり通常のWeb予約を待ったりせず、119番で救急車を要請してください。[7]

日下診療所での診療内容は、高血圧の診療案内をご覧ください。受診時は健診結果や家庭血圧の記録、服用中の薬が分かるものがあれば、相談の参考になります。

よくある質問

減塩しょうゆに替えれば、使う量を気にしなくてよいですか?

減塩タイプにも食塩は含まれます。量が増えれば摂る食塩も増えるため、表示と使用量の両方を確認しましょう。カリウム制限がある方は、商品の成分を確認し、主治医へ相談してください。[4][8]

家族の食事と別に作らなければいけませんか?

同じ食材を基本に、取り分ける時点や味付けを工夫する方法があります。ただし、個別の食事指示がある場合は、その内容を優先してください。家族の年齢・持病に応じた調整も必要です。[4]

※この記事は一般的な情報提供を目的としています。実際の食事や治療は、年齢・持病・栄養状態・服薬内容に応じて主治医と相談してください。

参考資料

  1. 日本高血圧学会「さあ、減塩! 食塩の知識」
  2. 厚生労働省「栄養・食生活と高血圧」、「ナトリウム」
  3. 厚生労働省「減塩を進めるためのヒント」
  4. 国立循環器病研究センター「食事療法について」
  5. 日本高血圧学会「薄口しょうゆと濃口しょうゆの食塩相当量について」
  6. 東京都保健医療局「栄養成分表示について知ろう」
  7. 消防庁「救急車を上手に使いましょう」
  8. 広島県 脳卒中・心臓病等総合支援センター「食事のこと」

医学監修: 木村(院長)

執筆: 石田 和也(理事長)