疾患
骨粗鬆症・骨密度検査 — ステロイドを使用している方の骨折リスク評価と前腕DXA測定
日下診療所では、前腕(橈骨)のDXA法による骨密度測定を行っています。関節リウマチ・膠原病・シェーグレン症候群の治療でグルココルチコイド(副腎皮質ステロイド)を使用している方の骨折リスク評価に対応し、測定のみであれば10分程度で受けられます。腰椎・大腿骨近位部の測定や背骨の画像評価が必要な場合は、対応可能な医療機関をご案内し、検査の結果は日下診療所でも確認して診療方針をご相談します。
日下診療所の骨密度評価について
日下診療所では、前腕(橈骨)の骨密度をDXA法で測定しています。とくに、関節リウマチ・膠原病・シェーグレン症候群の治療でグルココルチコイド(副腎皮質ステロイド)を使用している方については、骨がもろくなりやすいことが知られているため、診療のなかで骨折のリスクを評価しています。
骨密度の測定にはいくつかの部位と方法があり、日下診療所で測定できるのは前腕だけです。腰椎や大腿骨の測定が必要と判断した場合には、対応可能な医療機関をご案内します。受診の前に見通しを持っていただけるよう、日下診療所で行うことと院外にご案内することを先にお示しします。
骨粗鬆症という病気そのものの説明(原因・症状・診断基準・薬物療法・栄養と運動)は、医承会グループの疾患解説ページにまとめています。このページでは、日下診療所で何がどこまでできるのかをご案内します。
- 関節リウマチ・膠原病・シェーグレン症候群などの治療でグルココルチコイドを使用している方 — 通院中の診療のなかで骨折のリスクを評価します
- 骨の状態が気になる方、健診や他の医療機関で骨密度の低下を指摘された方 — 症状やこれまでの経過をうかがい、必要と判断した場合に骨密度を測定します
- すでに骨粗鬆症と診断されている方、治療や経過観察について相談したい方 — これまでの検査結果や治療の内容をうかがい、日下診療所で対応できる範囲と、院外の検査や診療が必要な範囲をご説明します
日下診療所で行うこと、院外の医療機関をご案内すること
前腕の測定では、非利き腕を用います。その側に骨折の既往がある場合は反対側で測定します。結果は、若年成人平均値(YAM)に対する割合で表示されます。診療ガイドラインでは、前腕で測定した骨密度を診断に用いる場合は、この割合のみを使うこととされています。測定後に結果をご説明します。
骨密度だけで診断が決まるわけではありません。過去の骨折の有無とその起こりかた、使用しているお薬、骨がもろくなるほかの病気の可能性などを確認し、必要に応じて背骨の画像評価や追加検査をご案内したうえで総合的に判断します。
日下診療所での対応範囲は、次のとおりです。
- 前腕(橈骨)の骨密度測定(DXA法) — 日下診療所で行います
- 測定後の結果の説明 — 日下診療所で行います
- グルココルチコイドを使用している方の骨折リスク評価 — 前腕DXA、年齢、これまでの骨折、投与量など、日下診療所で確認できる情報を用いて評価します。腰椎・大腿骨近位部のDXAや背骨の画像評価が必要な場合は、対応可能な医療機関をご案内します
- 骨粗鬆症の治療薬の処方 — 治療が必要と判断した場合、院外処方箋を発行することがあります。お薬は院外の保険薬局でお受け取りいただきます
- 腰椎・大腿骨近位部の骨密度測定 — 日下診療所では行っていません。対応可能な医療機関をご案内します
- 背骨の画像による椎体骨折の評価(症状のない骨折を含む) — 対応可能な医療機関をご案内します
- 骨折そのものの治療 — 対応可能な医療機関をご案内します
グルココルチコイド(副腎皮質ステロイド)を使用している方の骨密度
グルココルチコイド(副腎皮質ステロイド)を続けて使用すると、骨がもろくなり骨折しやすくなることが知られています。ここで注意が必要なのは、骨密度の数値だけでは骨折のリスクを説明しきれないという点です。診療ガイドラインでは、同じ骨密度であってもグルココルチコイドを使用している方は骨折のリスクが高く、原発性骨粗鬆症と同じ基準値をそのまま当てはめることはできないとされています。骨密度が原発性骨粗鬆症の骨密度基準に達していなくても、骨折のリスクが低いとは限らないということです。
このページで主に扱うのは、内服薬や全身への注射など、全身に作用するグルココルチコイドです。グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症のガイドラインでは、18歳以上で、グルココルチコイドを3か月以上使用している方、または3か月以上使用する予定の方を、骨折のリスクを評価する対象としています。3か月以上の使用が見込まれる場合は、使用開始後3か月を待つのではなく、開始時から予防を含めて評価します。
吸入薬・塗り薬・関節などへの注射は、内服薬や全身への注射薬とは評価の考え方が異なります。ただし、これらのお薬に骨への影響がないという意味ではありません。お薬の種類・量・使用期間・使用回数・ほかのグルココルチコイドとの併用などを確認して、個別に判断します。使用しているお薬が分かるものを、診察の際にお持ちください。
日下診療所では、関節リウマチ・膠原病・シェーグレン症候群の診療のなかでグルココルチコイドを使用している方について、骨密度を測定し、骨折のリスクを評価しています。前腕のDXAは、骨密度を数値で把握するための情報として用います。ただし、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の治療の開始を判断する基準では腰椎の骨密度が用いられ、投与開始後の早い時期に背骨の骨折の有無を確かめること、投与中はDXAで骨密度を定期的に測定することが推奨されています。前腕の測定結果だけで治療方針を決めるものではありません。腰椎や大腿骨近位部の骨密度の測定、背骨の画像による評価が必要と判断した場合には、対応可能な医療機関をご案内します。
骨粗鬆症の治療が必要と判断した場合には、日下診療所で院外処方箋を発行することがあります。お薬は院外の保険薬局でお受け取りいただきます。専門的な検討を要する場合には、東京女子医科大学足立医療センター 膠原病・リウマチ内科と連携して対応します。ご案内した先での検査の結果は日下診療所でも確認し、その後の診療方針をご相談します。
関節リウマチ・膠原病・シェーグレン症候群の診療については、それぞれのページでご案内しています。
院外の医療機関をご案内する場合
以下のような場合には、日下診療所での対応にとどまらず、対応可能な医療機関をご案内します。骨密度の測定部位が前腕だけであることだけが理由ではありません。
ご案内した先での検査の結果は日下診療所でも確認し、その後の診療方針をご相談します。
- 腰椎や大腿骨近位部の骨密度測定が必要と判断した場合
- 症状のない椎体骨折を含め、背骨の画像による評価が必要と判断した場合
- 背骨、脚の付け根、手首、肩などの骨折が疑われる場合
- 骨がもろくなる他の病気との区別に、追加の検査が必要と判断した場合
- 骨折のリスクが高く、専門的な検討のうえで治療薬を選ぶ必要がある場合
- 治療の効果を確かめるために、腰椎や大腿骨近位部の測定が必要と判断した場合
- 骨折そのものの治療が必要な場合
よくあるご質問
Q. ステロイドを使っています。骨密度を測ったほうがよいでしょうか。
A. 全身に作用するグルココルチコイド(副腎皮質ステロイド)を3か月以上使用している方、または3か月以上使用する予定の18歳以上の方は、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症のガイドラインで骨折のリスクを評価する対象とされています。3か月以上の使用が見込まれる場合は、使用開始時から予防を含めて検討します。
吸入薬・塗り薬・関節などへの注射は、内服薬や全身への注射薬とは評価の考え方が異なります。これは、これらのお薬に骨への影響がないという意味ではありません。お薬の種類と使い方によって考え方が変わりますので、診察の際にお知らせください。
日下診療所では、関節リウマチ・膠原病・シェーグレン症候群の診療のなかでグルココルチコイドを使用している方の骨密度を測定し、骨折のリスクを評価しています。
Q. 骨密度を測る場所が前腕だけということは、簡易な検査なのでしょうか。
A. 前腕のDXAは、前腕の骨密度を数値で測定する検査です。診療ガイドラインでは、腰椎と大腿骨近位部のいずれも評価が難しい場合に前腕骨の骨密度を参考にするとされています。
ただし、腰椎や大腿骨近位部のDXAと同じ情報が得られる検査ではありません。骨粗鬆症の診断では腰椎または大腿骨近位部の測定が原則とされており、日下診療所ではこれらの測定は行っていません。グルココルチコイドを使用している方の骨折リスクの評価でも、腰椎の骨密度が用いられます。
測定した結果と、これまでの骨折の有無、お使いのお薬、他の病気の状況をあわせて判断し、腰椎や大腿骨近位部の測定、背骨の画像による評価が必要と考えられる場合には、対応可能な医療機関をご案内します。
Q. 骨密度は原発性骨粗鬆症の骨密度基準には達していませんでした。ステロイドを使っていますが、心配はいらないでしょうか。
A. 骨密度が原発性骨粗鬆症の骨密度基準に達していなくても、全身に作用するグルココルチコイドを使用している方では、骨折のリスクが低いとは限りません。診療ガイドラインでは、同じ骨密度であってもグルココルチコイドを使用している方は骨折のリスクが高いとされています。
骨密度は評価に必要な情報の一つです。年齢・これまでの骨折・グルココルチコイドの投与量に加え、必要に応じて腰椎の骨密度や背骨の画像による評価をあわせて、追加の検査や治療の必要性を判断します。
数値だけで判断せず、診療のなかで継続して評価していきます。気になることがあれば、診察の際にお尋ねください。
Q. 骨粗鬆症と診断されたら、日下診療所で治療を受けられますか。
A. 骨粗鬆症の治療が必要と判断した場合、日下診療所で院外処方箋を発行することがあります。お薬は院外の保険薬局でお受け取りいただきます。
骨折のリスクが高く専門的な検討を要する場合や、治療の効果を確かめるために腰椎・大腿骨近位部の測定が必要な場合には、対応可能な医療機関をご案内します。
骨粗鬆症のお薬は、種類によって使用できる期間や中止のしかたが異なります。自己判断で中断せず、ご相談ください。
Q. 骨密度検査は痛いですか。時間はどのくらいかかりますか。
A. 前腕のDXAは、通常、検査そのものに痛みを伴いません。腕を一定の位置に置いて測定します。腕や肩に痛みがある方は、測定前にお知らせください。
骨密度の測定のみを行う場合、10分程度です。診察や他の検査とあわせて受けていただく場合は、これより時間がかかります。